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冬のテラス席や屋外イベントなどで活躍する電気式屋外暖房機。燃料交換が不要で、壁付け・天井付けなど設置方法の選択肢も豊富なことから、飲食店やホテル、商業施設などで活用されています。
前回のコラムでは、屋外用電気ヒーターの仕組みや特徴、設置方法についてご紹介しました。一方、電気式屋外暖房機を導入する際に確認しておきたいのが、電源設備です。
電気式屋外暖房機には、一般的な100Vのコンセントで使用できる製品もあれば、200Vの電源や専用の電気工事が必要な製品もあります。今回は、電気の基礎知識となる「電圧・電流・電力」の意味から、「100V・200V」「単相・三相」の違い、そして屋外用電気ヒーターの導入前に確認しておきたいポイントについて解説します。
▶まず知っておきたい電圧・電流・電力の違い
電気式屋外暖房機を選ぶ際に確認しておきたいのが、「電圧(V)」「電流(A)」「電力(W)」の3つです。これらは電気製品の仕様に記載されている基本的な数値ですが、それぞれ異なる意味を持っています。
- 電圧(V:ボルト):電気を流そうとする力の大きさ
- 電流(A:アンペア):流れる電気の量(流量)
- 電力(W:ワット):1秒あたりに使用する電気エネルギーの大きさ
水車を例に考えると?
電圧・電流・電力の関係は、水車を回す水の流れに例えると理解しやすくなります。水車を回す場合、水を押し流す「水圧」が電圧、流れる「水の量(流量)」が電流に相当します。そして、水圧と流量によって決まる、水車に伝わるエネルギーの大きさが電力に相当します。
つまり、水圧が高いほど、また水の流量が多いほど、水車に大きなエネルギーを伝えられるように、電気も電圧と電流の組み合わせによって電力の大きさが決まります。この関係を表すのが、次の計算式です。
電力(W)=電圧(V)×電流(A)
※単相交流の場合、電気ヒーター(電熱線を用いた抵抗負荷)は基本的に力率がほぼ 1.0 であるため、この計算式がそのまま成り立ちます。
例えば、1,500Wの電気ヒーターを使用する場合、電圧が100Vであれば15A、200Vであれば7.5Aの電流が必要になります。つまり、同じ電力を使用する場合でも、電圧によって必要な電流の大きさが異なるということです。この違いは、電気ヒーターを設置する際のコンセントや配線、電源設備を考えるうえで重要なポイントになります。

消費電力が大きいほど暖かい?
電気ヒーターの仕様に記載されている「消費電力(W)」は、暖房能力を考えるうえでも重要な数値です。例えば、1,500Wと3,000Wの電気ヒーターを比較すると、3,000Wのヒーターは1,500Wの約2倍の電力を消費します。一般的な電気抵抗式ヒーターでは、消費した電力のほぼすべてが熱に変わるため、3,000Wの方が多くの熱を発生させることができます。
ただし、消費電力が2倍だからといって、体感する暖かさが2倍になるわけではありません。特に屋外で使用する遠赤外線ヒーターの場合、暖かさは機器の構造や放射範囲、設置距離、角度、外気温などによって異なります。そのため、消費電力だけで暖房効果を判断するのではなく、使用する場所や暖めたい範囲に適した製品を選ぶことが大切です。
▶100Vと200Vの違いとは?
日本では、一般家庭のコンセントには主に100Vが使用されています。一方、エアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力の大きな機器では200Vが使用されることもあります。屋外用電気ヒーターも同様に、製品によって必要な電圧が異なります。
同じ電流であれば、200Vは100Vの2倍の電力を供給できます。また、同じ消費電力の機器であれば、200Vは100Vの半分の電流で使用できます。例えば、3,000Wの電気ヒーターを100Vで使用するには30Aの電流が必要ですが、200Vであれば15Aとなります。一般的な100V・15Aのコンセントでは3,000Wのヒーターを使用できないため、消費電力の大きな電気ヒーターでは200V仕様が採用されることがあります。
ただし、200Vだから必ず暖かい、あるいは電気代が高いというわけではありません。暖房性能は機器の構造や消費電力などによって異なり、電気料金も主に使用した電力量(kWh)や契約条件によって決まります。また、100V用の機器を200Vの電源に接続することはできません。必ず製品に指定された電圧を使用する必要があります。
▶単相と三相の違いとは?
電源を確認する際、電圧とあわせて知っておきたいのが「単相」と「三相」の違いです。
まず、交流と直流とは?
電気には「直流」と「交流」の2種類があります。直流は、電気が一定の方向に流れる方式で、乾電池やバッテリーなどに使用されています。一方、交流は、電気の流れる向きが周期的に入れ替わる方式です。一般家庭や店舗のコンセントには、この交流が供給されています。日本の交流電源は、東日本では主に50Hz、西日本では主に60Hzが使用されています。Hz(ヘルツ)は電気の変化が1秒間に何回繰り返されるかを示す単位です。この交流の供給方式には、主に「単相」と「三相」があります。

単相とは?
単相は、1組の交流を利用する方式で、一般家庭や店舗などで広く使用されています。照明やコンセント、エアコンなどに使用され、100Vと200Vの電源があります。屋外用電気ヒーターにも、単相100Vや単相200Vに対応した製品があります。
三相とは?
三相は、変化するタイミングが異なる3組の交流を利用する方式です。交流の電圧は時間とともに周期的に変化しますが、三相では、その変化するタイミングがそれぞれ3分の1周期ずつずれています。この3組の交流を組み合わせることで、大きな電力を効率よく供給でき、特にモーターなどの動力設備に適しています。日本では三相200Vが広く使用されており、工場の機械設備や大型空調設備、ポンプなどで活用されています。
単相と三相の比較
ここで重要なのは、同じ200Vでも、単相200Vと三相200Vは異なる電源方式であることです。三相200Vの電源がある場合でも、コンセント形状や契約種別(電灯・動力)の違いから、単相200V仕様のヒーターをそのまま使用できるとは限りません。電気ヒーターを導入する際は、製品が指定する電圧と電源方式を確認し、施設の電源設備に適合するかを確認することが大切です。
▶電気式屋外暖房機の導入前に確認したい5つのポイント
電気式屋外暖房機は、電源があればどこでも使用できるわけではありません。特に、飲食店のテラス席やホテルの屋外ラウンジなどでは、設置環境と電源設備の両方を確認することが重要です。
① 使用する機器の電圧と消費電力
まずは、導入予定の電気ヒーターが100V・200Vのどちらに対応しているか、必要な電源方式が単相・三相のどちらかを確認しましょう。また、製品の消費電力(W・kW)も重要な確認項目です。電気式屋外暖房機には、比較的小さな電力で使用できる製品から、2,000Wを超える高出力の製品まで、さまざまな種類があります。なお、単相と三相では電力の計算方法が異なります。 電圧と電流から消費電力を求める場合は、電源方式や力率などを考慮する必要があります。使用する機器の電圧・電源方式・消費電力を事前に確認することが、適切な製品選びの第一歩です。
② 既存のコンセント・電源設備で使用できるか
100Vのコンセントが設置されていても、すべての電気ヒーターを接続できるわけではありません。コンセントや電気回路には使用できる電流の上限があり、製品の消費電力によっては専用回路が必要になる場合があります。また、200V仕様の製品では、既存の設備に対応する電源がなければ、新たな配線工事などが必要になることがあります。電圧だけでなく、コンセントの定格や回路の容量まで確認することが大切です。なお、電気ヒーターは消費電力が大きい製品もあるため、延長コードや電源タップの使用には注意が必要です。製品の取扱説明書に従い、指定された接続方法を守りましょう。
③ 契約電力・分電盤の容量
電気ヒーターを複数台設置する場合は、個々の機器の消費電力だけでなく、施設全体の電源設備に十分な余裕があるかを確認する必要があります。例えば、2,000Wの電気ヒーターを3台設置する場合、合計6,000W(6kW)の電力が必要です。しかし、施設では照明や空調、厨房設備なども同時に使用しているため、ヒーターの消費電力だけで判断することはできません。使用可能な電力を確認するには、分電盤のブレーカー容量や既存設備の電力使用状況、電力会社との契約内容などを調べる必要があります。既存の電源設備に余裕がない場合は、専用回路の増設や分電盤の改修、電力契約の見直しなどが必要になることもあります。また、三相200Vの動力契約では、契約内容によって使用できる機器の用途などに制約が設けられている場合があります。 三相200Vの電源設備があるからといって、すべての電気機器を使用できるとは限りません。特に電気ヒーターなどの電熱機器を導入する場合は、電力会社との契約内容を事前に確認しましょう。導入前には、電気工事業者などの専門家に相談し、必要な電力を安全に供給できるか確認することが大切です。
④ 屋外での使用に適した製品・設置環境か
屋外で使用する電気ヒーターでは、雨や湿気、風などの影響を考慮する必要があります。製品によっては、防水・防じん性能を示すIP等級が設定されています。ただし、IP等級だけで設置可能な環境が決まるわけではありません。屋根の有無や雨の吹き込み、設置する高さ、周囲の可燃物との距離なども確認が必要です。また、屋外コンセントや配線についても、設置環境に適した仕様とすることが重要です。
⑤ 暖房したい範囲と設置台数
電気式屋外暖房機を選ぶ際は、消費電力だけでなく、実際に暖めたい範囲も考慮しましょう。例えば、飲食店のテラス席では、すべての空間を均一に暖めるのではなく、利用者が座る位置を中心に暖房機を配置する方法も考えられます。遠赤外線ヒーターの場合、暖かさの感じ方は、機器からの距離や設置角度、外気温、風の強さなどによって変わります。設置台数を増やせば消費電力も増えるため、暖房効果と電源容量の両方を考慮した機器選定が重要です。

まとめ|電気ヒーターの導入は電源設備の確認から
屋外用電気ヒーターを導入する際には、電圧・電流・電力の関係や、100V・200V、単相・三相といった電源方式を理解しておくことが重要です。特に、消費電力の大きな電気ヒーターや複数台の設置を検討する場合は、既存のコンセントだけでなく、分電盤や施設全体の電源容量まで確認する必要があります。また、屋外での使用にあたっては、電源設備に加えて、防水性能や設置場所、周囲の安全性にも配慮することが欠かせません。
フジガスでは、当社が取り扱う『HEATSTRIP』や『HEATSCOPE』などの高効率ヒーターをはじめ、さまざまな電気式屋外暖房機を取り扱っています。機器の選定から設置施工まで、使用環境に応じたご提案が可能です。屋外空間の寒さ対策や電気式暖房機の導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。