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前回のコラムでは、非常用発電機を選ぶ前に停電時に使用したい機器を整理し、「単相・三相」「100V・200V」といった電源仕様や、それぞれの機器の消費電力を確認することの大切さをご紹介しました。さらに、冷蔵庫やエアコン、ポンプなどについては、通常運転時の消費電力だけでなく、起動時に大きな電力を必要とする場合があることも確認しました。
ここまで調べると、「使いたい機器のW(ワット=消費電力)は理解したけど、何kVAの発電機を選べばいいの?」
という疑問が出てきます。家電製品や電気設備では「W(ワット)」や「kW(キロワット)」という単位を目にすることが多い一方、発電機の仕様を見ると「3kVA」「5kVA」「10kVA」など、「kVA(キロボルトアンペア)」という単位が使われています。
なぜ、同じ電気なのに単位が違うのでしょうか。今回は、発電機容量を考えるうえで知っておきたい「kW」、「kVA」、そして見落としてはいけない「力率」について、できるだけ分かりやすく解説します。
そもそも「W」と「kW」、「VA」と「kVA」は何が違う?
まずは、前回の記事でも登場した「W」から確認してみましょう。
「W(ワット)」は、電気機器が実際に仕事をするために使う電力(有効電力)を表す単位です。
1,000W = 1kW(キロワット)となります。例えば、停電時に使用する機器の合計消費電力が2,000Wだった場合、2,000W ÷ 1,000W で「2kW」と表すことができます。つまり、WとkWは別の種類の電気を表しているわけではなく、数字を分かりやすくするために単位を変えているだけです。発電機容量を考える際には、まず停電時に使用したい機器の消費電力を整理し、必要な電力が何kWになるのかを把握します。
一方、「VA(ボルトアンペア)」は、電源から供給される電力の大きさ(皮相電力)を表す単位です。1,000VA=1kVAとなるため、3,000VAは「3kVA」と表すことができます。簡単にいうと、kVAは発電機が供給する電力の大きさ、kWはそのうち実際に機器で仕事に使われる電力の大きさです。
つまり、大まかに整理すると、kWとkVAの違いは次の通りです。

※例えば発電機が「5kVA」だからといって、必ずしもすべての条件で「5kW」の電力を機器に使えるとは限りません。そこで理解しておきたいのが、「力率」です。
「力率」って何?
ここでは、「力率」について詳しく見ていきます。「力率」と聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、力率とは、「供給された電力のうち、実際に仕事に使われる電力の割合」と考えてみましょう。
発電機から供給される電力は交流です。交流で機器を使用する場合、電源から供給される電力(kVA)と、実際に機器で仕事に使われる電力(kW)が同じになるとは限りません。この関係を表すのが「力率」です。力率は「1.0」や「0.8」といった数値で表されます。例えば、力率が0.8の場合は、
5kVA × 0.8 = 4kW
となります。つまり、この場合、5kVAに対して有効電力は4kWという関係になります。同じ5kVAでも、力率によって有効に使用できる電力が変わるということです。
力率は「すべて0.8」ではありません
ここは、発電機を選ぶ際に誤解しやすいポイントです。例えば、「発電機を選ぶときは、消費電力を0.8で割ればよい」というわけではありません。力率は、基本的に接続して使用する機器(負荷)の特性によって異なります。照明、パソコン、電子レンジ、冷蔵庫、エアコン、ポンプなど、使用する機器によって力率は異なる可能性があります。そのため、複数の機器の消費電力を合計して、
合計4kW ÷ 0.8 = 5kVA
と一律に計算すればよいとは限りません。また、発電機の仕様書に「力率1.0」「力率0.8」などの記載がある場合がありますが、これは接続するすべての機器の力率がその数値になるという意味ではありません。発電機側の仕様と、使用する機器側の力率は分けて考える必要があります。
機器の「力率」はどこで確認する?
では、使用する機器の力率はどこで確認すればよいのでしょうか。力率は、主に機器本体の銘板、取扱説明書、メーカーの仕様書などで確認します。ただし、消費電力のように、すべての機器に「力率:○○」と分かりやすく記載されているわけではありません。例えば、身近な家電製品では、
定格電圧:100V
定格消費電力:1,200W
などは記載されていても、力率までは記載されていない場合があります。そのような場合は、メーカーに確認したり、発電機や電気設備の専門事業者へ相談したりする方法があります。発電機を選ぶために、分からない力率を自己判断で一律に設定しないことも大切です。
具体例|定格消費電力800Wの機器を使う場合

同じ800Wの機器でも、力率によって発電機に必要な容量は変わります。「消費電力が800Wなら、発電機も800VAあればよいのでは?」と思うかもしれません。しかし、800Wは機器が実際に消費する有効電力です。発電機に必要な容量を考えるには、力率を考慮して皮相電力(VA)の確認が欠かせません。
では、必要な「kVA」はどう考える?
ここまでを整理すると、基本的な関係は、「kW = kVA × 力率」です。したがって、ある負荷について必要な有効電力(kW)と力率が分かっている場合には、
kVA = kW ÷ 力率
という関係から、必要となる皮相電力を考えることができます。例えば、ある機器が2kWの有効電力を必要とし、その機器の力率が0.8だったとします。この場合、
2kW ÷ 0.8 = 2.5kVA
となります。つまり、この機器を運転するためには、計算上2.5kVAの皮相電力が必要になるという考え方です。
※これはkW・kVA・力率の関係を理解するための単純な計算例です。実際の発電機選定では、機器ごとの仕様や起動時の電力なども確認する必要があります。
「消費電力の合計」だけでは発電機を選べない
ここで、前回のコラムで確認した内容が重要になってきます。発電機を選ぶ際には、「停電時に使いたい機器の消費電力は合計○kWだから、○kVAの発電機を選ぼう」と単純に決めることはできません。
まず、使用する機器が100V・200Vのどちらなのか、単相・三相のどちらなのかを確認する必要があります。さらに、今回ご紹介した力率も確認します。そして、冷蔵庫やエアコン、ポンプなど、モーターやコンプレッサーを使用する機器では、通常運転時よりも起動時に大きな電力を必要とする場合があります。
つまり、発電機を選ぶためには、「どのくらい電力を使うのか」だけでなく、「どんな電気を、どのように使うのか」まで確認することが重要です。
まとめ|発電機容量を検討するまでの流れ
機器の消費電力では「W・kW」、発電機の容量では「VA・kVA」という単位が使われます。そして、kWとkVAの関係を考えるうえで重要なのが「力率」です。基本的な関係は、
kW = kVA × 力率
で表すことができます。ただし、力率はすべての機器で同じではありません。また、実際に非常用発電機を選ぶ際には、容量だけでなく、電圧・電源方式、起動時に必要な電力、同時に使用する機器なども確認する必要があります。そのため、非常用発電機を検討する際は、まず「停電時に何を動かしたいのか」から必要な条件を整理し、それに合った発電機を選ぶことが大切です。

一方で、必要な発電機の容量や仕様が見えてくると、次に気になるのが**「どのくらいの予算で導入できるのか」**ではないでしょうか。
非常用発電機にはさまざまな容量・仕様があり、停電時に使用する機器や運用方法を工夫することで、予算に応じた導入方法を検討することもできます。また、施設や導入目的によっては、国や自治体などの補助制度を活用できる場合もあります。
フジガスでは、必要な発電機容量を確認するだけでなく、お客さまの使用目的や設置環境、ご予算なども踏まえた発電機のご提案から、設置・施工まで対応しています。今後のコラムでは、導入費用の考え方や予算に応じた選択肢、非常用発電機の導入に活用できる補助金についても今後詳しくご紹介していきます。非常用発電機の容量や選び方でお困りの場合は、お気軽にフジガスまでご相談ください。