非常用発電機を選ぶ前に確認したいこと|電源・消費電力の調べ方を解説
2026.09.04
コラム

前回のコラムでは、災害による停電に備えて、まずは「停電時に何を動かしたいのか」を整理し、電源を確保する設備の優先順位を考えることの大切さをご紹介しました。

では、停電時に使用したい機器・設備が決まったら、次に何を確認すればよいのでしょうか。発電機を検討すると、「何kVA必要なのか」「どのくらいの発電機を選べばよいのか」と、つい発電機の容量から考えてしまいがちです。しかし、同時に確認すべきは、それぞれの電源仕様です。例えば、同じ施設の中でも、照明やパソコンなどは100V、業務用エアコンやポンプなどは200Vで使用されていることがあります。また、電源には「単相」と「三相」があり、機器によって必要な電気が異なります。

発電機を選ぶ第一歩として、まずは「停電時に何を動かしたいのか」を整理した上で、「その機器はどんな電気で動いているのか」「動かすのに必要な電力はどの程度か」を確認しましょう。


発電機を選ぶ前に確認すべきステップ

発電機を検討する前に確認しておきたいポイントの第一歩は、停電時に最低限維持すべき機能の洗い出しです。例えば、ある施設で停電が発生したとします。停電中も最低限の施設機能を維持するため、次の機器を維持したいと考えました。

使用したい機器使用する台数
LED照明10台
ノートパソコン2台
Wi-Fiルーター1台
冷蔵庫1台
エアコン1台

ここで、「すべての機器を動かすのに何W必要なのだろうか?」と消費電力を計算したくなります。しかし、その前に確認すべきことがあります。それが、各機器の「電源仕様」です。

建物で使用されている電気は、すべて同じではありません。機器や設備によって、必要となる電圧や電源方式が異なります。例えば、一般的なコンセントにつないで使用するパソコンやWi-Fiルーターなどでは100Vが使用されています。一方、施設や店舗、工場などで使用される大型の空調設備やポンプ、機械設備などでは、単相200Vや三相電源が使用されていることがあります。

ここで覚えておきたいのが、「100Vか200Vか」だけでなく、「単相か三相か」の確認です。

例えば、同じ「200V」でも、単相200V三相200Vでは電源方式が異なります。そのため、使用したい機器の消費電力が分かっていても、発電機がその機器に必要な電圧・電源方式に対応していなければ、電源を供給できません。電気設備の電源仕様は、主に次のようなところから確認できます。

・製品本体の銘板(ラベル)
・取扱説明書
・メーカーの仕様表

例えば製品本体の銘板に、

定格電圧:100V
定格周波数:50/60Hz
定格消費電力:○○W

などと記載されている場合があります。「三相100V」という規格や電源は基本的に存在しないため、ここでいう「100V」は「単相100V」の電圧・電源方式になります。機器によって表示方法は異なるため、分からない場合はメーカーや設備の施工・保守事業者などへ確認しましょう。

各機器・設備の電圧・電源仕様の確認は欠かせません

先ほどの施設を例に考えてみましょう。例えば、照明やパソコン、Wi-Fiルーターなどが単相100Vで使用されていたとしても、エアコンまで同じとは限りません。エアコンには100V仕様や単相200V仕様のほか、業務用設備では三相200Vを使用するものもあります。つまり、発電機を選定する際には、事前に使用しているエアコンが、「何Vなのか?」「単相なのか、三相なのか?」まで確認する必要があります。これはエアコンだけでなく、冷蔵・冷凍設備や給水ポンプ、業務用設備などについても同様です。

電源仕様を確認できたら、次に調べるのが消費電力です。電気を使用する機器には、それぞれ運転するために必要な電力があります。自分が使用している機器の消費電力は、主に製品本体の銘板(ラベル)・取扱説明書・メーカーの仕様表などから確認できます。

LED照明器具:消費電力が20Wと記載されていたとします。この場合、停電時にLED照明10台を使用する場合にかかる消費電力は20W × 10台 = 200Wとなります。

パソコン:ACアダプターや仕様を確認し、必要な電力を調べます。仮に1台100Wとして2台使用する場合は、100W × 2台 = 200Wです。

Wi-Fiルーター:Wi-Fiルーターが20Wなら、20W × 1台 = 20Wとなります。

先にとりあげた施設では、停電時に必要となる合計消費電力は、200W(LED照明10台) + 200W(PC2台) + 20W(Wi-Fiルーター) = 420W となります。まずは、このように「1台あたりの電力 × 使用台数」を書き出していくと、停電時に必要な電力を整理しやすくなります。

冷蔵庫やエアコンは、カタログに「年間消費電力量 ○○kWh/年」と表示されていることがあります。「年間消費電力量」と「運転時の消費電力」とは意味が異なります。加えて確認すべきは、起動時に必要となる電力です。

冷蔵庫、エアコン、給水ポンプなど、モーターやコンプレッサーを使用する機器では、動き始める瞬間に通常運転時より大きな電力(起動電力)を必要とする場合があります。そのため、「通常運転時の消費電力が300Wだから、300Wあれば動かせる」とは限りません。こうした機器では、電圧や単相/三相の確認とあわせて起動電力の確認が欠かせません。

必要な消費電力を計算する際には、「起動電力」も考慮しましょう。

最後に整理したいのが、停電時の設備の使い方です。

「照明と通信機器は常時使用する」
「冷蔵庫も常時電源につないでおく」
「エアコンは必要な時間帯だけ使用する」

例えば、すべての設備を同時に使用するのか、使用する時間帯をずらせるのかによって、発電機に求められる能力も変わってきます。非常時だからこそ、限られた電力を何に優先して使用するのかを平時から考えておくことが大切です。


ここまでの整理をまとめると、非常用発電機を検討するステップはイラスト(上記)にある通り、まず次の順番で考えます。

① 停電時に動かしたい設備を決める
② 電圧・電源方式を確認する
③ 各設備の消費電力を確認する
④ 起動時に必要な電力を確認する
⑤ 同時に使用する設備を整理する
⑥ 必要な発電機容量を検討する

ここまで整理できて、ようやく、

「Wは分かった。でもkVAって何?」

となります。機器の消費電力は「W」と表示されているのに、発電機を見ると「kVA」という単位が使われています。実際に発電機の容量を選定する際には、電圧や電源方式、そして消費電力(W)を理解した上で、kWとkVAの違いや「力率」などについても考える必要があります。ただし、最初からこれらをすべて理解しようとすると、発電機選びが難しく感じられてしまいます。まずは今回ご紹介した、

「停電時に何を使いたいのか」
「その機器の電源方式は何か
どのくらいの電力を使うのか」

を整理することから始めてみましょう。次回は、この情報をもとに、「必要な発電機容量(kVA)をどう考えるのか」具体例を交えながらご紹介します。

まとめ|まずは「使いたい機器」と「電源方式・消費電力」を確認しよう

非常用発電機を検討するとき、最初から「何kVA必要なのか」を考える必要はありません。まずは停電時に使用したい機器を決め、製品本体の銘板や取扱説明書、メーカーの仕様表などから電圧と電源方式、そして消費電力を確認することから始めます。さらに、冷蔵庫やエアコン、ポンプなどについては、通常運転時の消費電力だけでなく、起動時に必要となる電力についても確認します。

停電時に必要な電力を一つずつ整理していくことで、自分たちに必要な非常用発電機の姿が見えてきます。フジガスでは、お客さまが停電時に使用したい設備や必要な電力量、発電機の設置環境などを確認し、用途に適した非常用発電機をご提案しています。

企業や福祉施設、工場などにおけるBCP対応として非常用電源の導入をご検討の際は、フジガスまでお気軽にご相談ください。

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